STORY
「人間が真に悪くなると、人を傷付けて喜ぶ以外に、興味を持たなくなる。」
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
『格言と反省』より
現代社会において、異能力をたずさえた人間たちの姿が、世界の影にうごめいていた。
彼らは、この世界の影の中、人知れず戦いを繰り広げた。
人と妖のみならず、人と人、あるいは妖と妖。
この世は未だ、流血を望んでいる――。
そして、この世に新たな戦が幕を開こうとしていた。
屈強な一匹の獣。 檻から放たれた獣は、世界を未曾有の戦争へと引きずり込もうとしていた。
そんな世界に、一人の青年の姿があった。
彼の名は、神津ミソカ。
運命に翻弄され、傷付いた青年。
彼は、この巻き起こる戦いの奔流に、再び飲み込まれていくことになる。
そして、戦の鍵たる少女。
巫女服に身を包みし少女は、一人月下にたたずんでいた。
「いつか……いつか、これを返せる日が来れば…………」
しかし、少女の想いは踏みにじられるかのように、運命は回りだす。 それは、破壊と殺戮の衝動……ただそれだけが引き起こした戦である。
「……探したぞ、巫女よ」
悪意の結晶が今、少女の前に降り立った。
世界は、戦を望むのか……
流血を望むのか……